STD診断をHIV検査につなげて―エイズ・性感染症学会合同シンポ
「HIV感染症から見えてきた性感染症の新たな問題点」をテーマにしたシンポジウムが11月25日、東京都内で開催され、HIVや性感染症(STD)診療の専門家が、STDの診断をHIV検査の実施につなげるべきと訴えた。このシンポジウムは、日本エイズ学会が24-26日に開催している第24回日本エイズ学会学術集会・総会の中で、性感染症学会との合同シンポジウムとして開かれた。
HIV診療医の立場で講演したがん・感染症センター都立駒込病院感染症科の味澤篤氏は、「STDとHIV感染症は切っても切れない関係」と指摘。HIV感染症でよく見られるSTDとして、▽B型肝炎▽梅毒▽尖圭コンジローマ―などを挙げた。
味澤氏は、B型肝炎ウイルスとHIVに重複感染している場合、がんや肝硬変になりやすく、肝臓関連死亡率が高くなると説明。梅毒については、HIV感染者の6割がかかったことがあるとの自院のデータを示した。その上で、「HIV感染者には、既往を含めてSTDが見られる。STDを持っていると、人に HIVを移しやすくしたり、人からHIVをもらいやすくなったりする」と述べ、STDの早期治療と、STD診断時にHIVへの感染を疑う必要性を強調した。
STDの臨床医の立場で講演した神戸大の荒川創一氏も、「HIVと診断したら、梅毒、B型肝炎を疑う。逆に、梅毒、B型肝炎と診断したらHIVを疑うべき」「クラミジアなどの疾患を持っていると、HIVに2-5倍かかりやすい」などと指摘した。
その後のパネルディスカッションでは、兵庫医科大血液内科の日笠聡座長が「STDを診断している臨床現場では、どのくらいHIV検査が行われているのか」と問題提起。これに対し荒川氏は、「まだ泌尿器科の医師への啓発は少ない。都市部では、STDを診断したら、少なくともスクリーニング検査を行うのが、あるべき姿だと思う」と述べた。
多摩総合医療センター皮膚科の加藤雪彦氏は、「梅毒を見たらHIV検査をするのは大都市では当たり前だ。妙に重症感のある帯状疱疹などを見たら検査を勧めている」と述べた。これに対し日笠氏は、「一般の皮膚科の先生はそこまでやっていないように思う。やってほしいというアナウンスが必要だ」との考えを示した。
国立国際医療研究センター産婦人科の五味淵秀人氏は、「産婦人科医の意識として、HIV感染が身近にあるかというと、存在は知っていても『対岸の火』という感情を持っている先生が多いと思う」と述べた。
最後に日笠氏は、「泌尿器科や皮膚科などでは(HIV検査は)ハードルが高いという人が残っている。早期発見のために力を貸してほしいと、HIVを診療している者から発信していくことが大事だと思う」と締めくくった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101125-00000010-cbn-soci
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