エイズ禍、すくむ南ア W杯の陰、感染推定570万人
サッカーワールドカップ(W杯)が開催中の南アフリカ。4年に1度の祭典に世界中が盛り上がるが、一方で南アは、世界で最もエイズウイルス(HIV)感染率が高い国でもある。感染者数は推定570万人に上り、国民の9人に1人が感染しているとされる。治療薬の進歩と普及で先進国では「慢性疾患」になったともいわれるが、貧困層が多いこの国では、発症や死に直結する。
国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、世界のHIV感染者総数は2008年末時点で推計3340万人。エイズ関連死者数は200万人、新たな感染者数は270万人に上った。サハラ砂漠以南のアフリカ諸国での感染者数が圧倒的に多い。
南アでは15~49歳の感染率が約18%。毎年5万9千人の乳児がHIVに感染した状態で誕生し、エイズ遺児は120万人に上るというデータもある。政府は03年からエイズ治療の無料化を実施しているが、多くの患者が待っている状態で、末期症状になってようやく抗ウイルス治療を受ける人も少なくない。
最大都市、ヨハネスブルク近郊にあるホスピスには、エイズ発症者約30人が入所し、毎月5、6人が死亡する。看護師のルゾーコ・シーコさん(32)は「大半は手遅れの状態で運ばれてくる。ここでは死が日常なのよ」と話す。
南アでは、99年から08年まで大統領だったムベキ政権の「無策」が感染を拡大させたとの批判が根強い。ムベキ前大統領は以前、HIVがエイズの原因との説に疑問を呈し「エイズ治療薬は毒」と発言。米ハーバード大の研究チームは一昨年、2000年代前半に南ア政府が適切な対策を取っていれば、36万5千人が死なずに済んだとの論文を発表した。
現政権になってエイズ対策に力が入れられるようになり、最近は改善傾向にあるともいわれる。しかし、南アではHIV検査を受けない人が圧倒的多数で、実際の感染者数ははっきりしないのが実情だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100701-00000060-san-soci
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